エンゲージメント率とは、投稿を見たユーザーが「いいね」「リポスト(シェア)」「クリック」などの具体的な反応(エンゲージメント)をどれだけ起こしたかを示す割合のことです。単に多くの人の目に触れる(インプレッション)だけでなく、そのコンテンツがどれほどユーザーの興味を惹きつけ、行動を促したかを測るための「質の指標」として定義されます。
かつてのSNSマーケティングでは「フォロワー数」が最重要KPIとされてきましたが、アルゴリズムの進化により、現在では「フォロワーとの関係値の深さ」が投稿の拡散力を左右するようになりました。そのため、単に数値を追うのではなく、エンゲージメント率を分析してユーザー心理を理解し、適切なコミュニケーションを設計することが、企業のSNS運用において不可欠となっています。
本記事では、X(旧Twitter)・Instagram・Facebook・TikTokそれぞれの正しい計算式から、業界別の平均目安、そして数値を確実に高めるための実践的な施策までを体系的に解説します。
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目次

エンゲージメント率とは、SNS投稿に対してユーザーが能動的なアクションを起こした割合を示す指標であり、現代のSNSマーケティングにおいて「コンテンツの質」を測る最も重要な指標です。フォロワー数という「量」の指標だけでは見えない、ユーザーとの結びつきの強さやブランドへの好意度を可視化できるため、アルゴリズム攻略の観点からも最優先で追うべきKPIと言えます。
「エンゲージメント」という言葉は広義には「絆」や「約束」を意味しますが、SNSマーケティングにおいてはユーザーが行う「反応」の総数を指します。具体的にどのようなアクションがエンゲージメントとしてカウントされるかは、プラットフォームによって異なりますが、主要な要素は以下の通りです。
これらのアクションはすべて等価ではなく、各SNSのアルゴリズムによって重み付けが異なります。例えば、Instagramでは「保存数」が発見タブへの露出に大きく寄与するとされており、X(旧Twitter)では「滞在時間」や「リプライ」が重視される傾向にあります。したがって、自社が運用する媒体において「どのエンゲージメントを最大化すべきか」を理解しておくことが重要です。
かつては「フォロワー数が多い=影響力が大きい」と考えられていましたが、2025年現在、その常識は変わりつつあります。その理由は大きく分けて2つあります。
第一に、「アルゴリズムによる表示順位の決定」です。
現在、主要なSNS(X, Instagram, TikTok等)のタイムラインは、時系列順ではなく「ユーザーが興味を持ちそうな順(おすすめ順)」で表示されます。この「興味の度合い」を判定する基準こそがエンゲージメント率です。 フォロワーが1万人いても、エンゲージメント率が低ければ、その投稿はフォロワーのタイムラインにさえ表示されにくくなります。逆に、フォロワーが少なくてもエンゲージメント率が高ければ、アルゴリズムによって「質の高いコンテンツ」と判断され、フォロワー以外の層(発見タブやおすすめ欄)へも拡散されるチャンスが生まれます。
第二に、「マーケティング効果の実質的な価値」です。
企業の最終的な目的は、単に投稿を見てもらうことではなく、その先の「購買」や「ファン化」にあります。ただ眺められているだけの1万インプレッションよりも、熱心にコメントや保存をしてくれる100エンゲージメントの方が、LTV(顧客生涯価値)やブランドロイヤルティへの貢献度は高いと言えます。 このように、エンゲージメント率は「どれだけ深くユーザーの心に刺さったか」を示す指標であるため、本質的なマーケティング成果を追う上で不可欠なのです。
エンゲージメント率を分析する際に見落としがちなのが、「数値が高い=必ずしも良い状態とは限らない」という点です。 エンゲージメントには、ポジティブな反応だけでなく、ネガティブな反応も含まれる場合があるからです。
例えば、議論を呼ぶような投稿でコメント数が増えたとしても、それがブランドイメージを毀損する内容であれば、マーケティングとしては失敗です。数値だけを盲目的に追うのではなく、「どのような感情でそのアクションが行われたか(センチメント分析)」を併せて確認する必要があります。質の高いエンゲージメントとは、ユーザーからの「共感」「信頼」「応援」に基づいたアクションであることを忘れてはなりません。

エンゲージメント率を正しく算出するには、各SNSの仕様に合わせた計算式を用いる必要があります。「何を分母にするか(インプレッション数か、フォロワー数か)」によって算出される数値の意味合いが大きく異なるため、自社の運用目的(認知拡大なのか、ファン化なのか)に合わせて適切な指標を選択することが重要です。ここでは主要4媒体の計算方法を解説します。
X(旧Twitter)におけるエンゲージメント率は、公式のアナリティクスツール(X Analytics)でも採用されている「インプレッション(表示回数)」を分母とした計算式が基本となります。
| 【計算式】 (エンゲージメント総数 ÷ インプレッション数)×100 = エンゲージメント率 |
Xは拡散性が高く、フォロワー以外の目に触れる機会も多いため、「投稿を見た人のうち、何人が反応したか」を測るこの計算式が最も実態を反映します。
Instagramでは、目的に応じて「フォロワー数」または「リーチ数」のいずれかを分母に設定します。公式インサイトでは自動算出されないため、自社の運用フェーズに合わせてどちらかを選定し、統一して管理しましょう。
| 【計算式】 (いいね数 + コメント数 + 保存数)÷ フォロワー数(またはリーチ数)×100 = エンゲージメント率 |
分母の選び方:
特にInstagramのアルゴリズムにおいては「保存数」が重要視されるため、分子には必ず「保存」を含めて計算することをおすすめします。
Facebookは実名制でビジネス利用も多いため、投稿が実際に届いた人数を示す「リーチ数」を分母にするのが一般的です。
| 【計算式】 (いいね!・コメント・シェア・クリックの総数 ÷ リーチ数)×100 = エンゲージメント率 |
Facebookはアルゴリズムにより、エンゲージメントが低い投稿はフォロワーにさえ表示されなくなる傾向があります。そのため、リーチしたユーザーから確実に反応を得られているかを確認することが重要です。
TikTokは「おすすめフィード」での受動的な視聴がメインとなるため、フォロワー数よりも「動画の視聴回数」をベースに考えるのが最も実態に即しています。
| 【計算式】 (いいね + コメント + シェア)÷ 動画の視聴回数 ×100 = エンゲージメント率 |
この計算式を用いることで、動画単体のパフォーマンス(面白さ、有益さ)を正確に評価できます。TikTokではこれらに加え、「視聴完了率」や「複数回再生」も内部的な評価指標として極めて重要です。

「自社の数値は高いのか低いのか?」を判断するための客観的な基準として、業界別の平均値を知っておくことは有用です。エンゲージメント率は扱う商材やブランドの規模によって変動するため、一律の正解はありませんが、まずは全体的なトレンドを把握しましょう。
米国のソーシャルメディア分析ツール「Rival IQ」が発表した最新のレポート(2025 Social Media Industry Benchmark Report)によると、主要SNSのエンゲージメント率は全媒体で軒並み低下しており、過去の基準が通用しなくなっています。 なお、この調査データは「フォロワー数」を分母として算出されています。自社の管理画面(インサイト)で見ている数値(インプレッション分母など)とは基準が異なる場合があるため、注意して参照してください。
| プラットフォーム | 平均エンゲージメント率 |
| 約 0.36% | |
| X (旧Twitter) | 約0.15% |
| TikTok | 約 3.75% |
| 約 0.046% |
業界によってユーザーの反応率は大きく異なります。同レポートのInstagramにおける業界別データを例に見ると、「高等教育(大学等)」や「スポーツ」といったコミュニティの熱量が高い分野は数値が高く、逆に「美容・コスメ」や「ファッション」といった競争の激しい分野は平均を下回っています。
美容やアパレル業界において「0.15%」前後であれば、それは決して失敗ではなく「業界平均並み」と言えます。このように、全業界平均と比べるのではなく、「自社が属する業界の平均」や「自社の過去の数値」と比較して目標を設定することが重要です。

計算方法と目安を理解したところで、ここからは実際にエンゲージメント率を向上させるための具体的なアクションプランを解説します。小手先のテクニックではなく、ユーザー心理に基づいた本質的な改善策を5つ厳選しました。
エンゲージメントが低い最大の原因は、「誰に向けた投稿なのか」が曖昧なことにあります。万人に受けようとする投稿は、結果として誰の心にも刺さりません。「都内在住、30代働くママ、時短料理に関心あり」のように具体的なペルソナ(ターゲット像)を設定し、その一人が抱える悩みや関心事に深く刺さるコンテンツを作成することが重要です。 単に「役に立つ(有益性)」情報を発信するだけでなく、「わかる!(共感)」や「なりたい(憧れ)」といった感情を揺さぶる要素を盛り込むことで、いいねや保存といったアクションが自然と発生するようになります。ターゲットの感情に寄り添うことが、反応を引き出す第一歩です。
SNSは一方的な情報発信の場ではなく、コミュニケーションの場です。ユーザーからのコメントやメンションに対して、こまめに「いいね」や「返信」を行うことは、エンゲージメント向上に直結します。
具体的な手法としては、投稿文の中で「皆さんはどう思いますか?」「AとBならどっちが好き?」といった質問を投げかけたり、Instagramのストーリーズ機能にあるアンケートや質問ボックスを活用したりする方法が有効です。ユーザーがタップ一つで気軽に参加できる機会を作ることで、双方向のアクションが生まれやすくなります。こうした地道な交流が、アルゴリズム上で「親密度が高いアカウント」と評価され、投稿の表示優先度を高める要因となります。
どれほど良いコンテンツでも、ペルソナがSNSを見ていない時間に投稿しては反応が得られません。自社のインサイトデータを確認し、フォロワーが最もアクティブな時間帯(通勤時間、ランチタイム、就寝前など)を狙って投稿しましょう。
また、投稿頻度も重要です。少なすぎると忘れられ、多すぎると「うっとうしい」と感じられフォロー解除の原因になります。まずは「2〜3日に1回」など無理のないペースで質の高い投稿を継続し、反応を見ながら最適解を探ってください。
短期間で爆発的にエンゲージメントを高めるには、ユーザーが「見る」だけでなく「参加する」仕掛けを作るユーザー参加型の企画が極めて有効です。
具体的には、参加条件として情報の拡散を促すフォロー&リポストキャンペーンを実施することで、認知と反応を同時に獲得できます。また、フォトコンテストやハッシュタグ投稿の募集といったUGC(ユーザー生成コンテンツ)を促進する施策や、クイズやアンケートなどのインタラクティブな投票機能を活用するのも効果的です。ユーザーは「自分の意見が反映された」「企画に参加している」という当事者意識を持つことで、ブランドへの愛着を深めるようになります。こうした参加型の施策は、通常の投稿と比較して圧倒的に高い数値を記録する傾向にあります。

フォロリツ・プレゼント企画をもっと効果的にしたい方へ
流行りの「診断」や「人気OO総選挙」「いくつ知ってる?ブランドOO検定」など、楽しめるSNSキャンペーンを紹介!
UGC創出やフォロワーの定着(ファン化)に最適!
SNSは「今」起きていることがリアルタイムで共有される場所です。そのため、その瞬間に話題になっているニュースやトレンドワード、季節イベント(クリスマス、バレンタイン等)を投稿のテーマにうまく取り入れることで、普段接点のないユーザーからの流入や大きな反応を期待できます。
いわゆる「便乗」ですが、自社のブランドと無関係なトレンドに無理に乗るのではなく、自社の文脈で語れる切り口を見つけることが重要です。各プラットフォームのアルゴリズムも、急上昇している話題に関連する投稿を優遇して表示させる傾向があります。常に世の中のトレンド情報をキャッチアップし、スピーディーに自社のコンテンツへと落とし込む体制を整えることが、エンゲージメントの最大化につながります。
エンゲージメント率は、SNSマーケティングが「フォロワー数」から「関係性の質」へ変化したことを示す重要指標です。本記事で解説した要点を押さえ、日々の運用改善に役立ててください。
まずは各SNSに合った正しい計算式で現状を把握し、数値の大小だけでなく反応の「質」まで洞察することが大切です。その上で、ペルソナへの共感を生む双方向のコミュニケーションや、トレンドを取り入れた企画を積極的に仕掛けていきましょう。ユーザー1人ひとりと向き合い信頼を築くプロセスこそが、エンゲージメント率を高め、ひいては企業の成果最大化につながります。

本記事では、SNSのエンゲージメント率を高める施策を解説しましたが、いざ運用を続けると、「数値上の反応はあっても、売上やファン化につながっている実感が湧かない」「投稿ネタがマンネリ化し、ユーザーの反応が徐々に薄れている」「誰が本当の熱狂的なファンなのかが見えない」といった、より本質的な課題に直面することも少なくありません。
そのような課題を解決するのが、クラウドサーカス社が提供するアクション型ロイヤリティプログラムツール「Metabadge(メタバッジ)」です。
Metabadgeは、SNSの「いいね」や「保存」といった一瞬の反応だけでは測れない、深いエンゲージメントを生み出すツールです。ノーコードで簡単に作成できる「クイズ」「診断」「投票」「AR」といったテンプレートが豊富に用意されており、これらのリンクをSNSに投稿することで、フォロワーを単なる閲覧者から「参加者」へと変えることができます。 例えば、「推しキャラ診断」や「マニアックなクイズ」などを実施することで、SNS上での話題作り(拡散)だけでなく、ユーザーにブランドの世界観を長く楽しんでもらうきっかけを作り、ブランドへの愛着を深めます。
SNSのプラットフォーム上だけでは、ライトなファンとコアなファンの区別がつきにくいのが難点です。Metabadgeの中核機能である「デジタルバッジ」は、このファンの熱量を可視化します。「キャンペーンに参加」「クイズに全問正解」「イベントに来場」といった行動に応じてオリジナルのバッジを付与することで、ユーザーの応援活動を「目に見える形」で証明します。 集めたバッジをコレクションする楽しさは、ユーザーの継続的な関心(リテンション)を生み出します。また、獲得したバッジをユーザー自身がSNSでシェアすることで、新たなUGCが生まれ、結果としてSNSアカウント自体のエンゲージメント活性化にも寄与します。
「施策の効果が、SNSのインサイト数値だけでしか判断できない」というのも、マーケティング担当者の悩みです。Metabadgeは、コンテンツの参加状況や、どのユーザーがどんなバッジを持っているかを分析するダッシュボード機能を備えています。 これにより、「どんな投稿や企画が、熱量の高いファンに響いたのか」をデータに基づいて把握できるため、SNS運用のペルソナ設定や投稿内容の精度をさらに高めることができます。 フォーム入力後、資料を閲覧できます。
表面的な数値だけでなく、ファンとの関係性をより深めるための施策をご検討中の方は、ぜひ以下の資料をダウンロードしてご確認ください。
アクション型ロイヤルティプログラム「Metabadge概要資料」

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