顧客との関係が最近希薄になっている、LTVがなかなか上がらない、といった課題をお持ちではありませんか。
多くの企業が同様の悩みを抱える中、その解決策として「ロイヤルティプログラム」が注目されています。
しかし、言葉は知っていても「ポイントカードと何が違うの?」「具体的にどんな施策があるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
この記事では、ロイヤルティプログラムの基本からプログラムの種類やメリット、有名企業の成功事例まで分かりやすく解説します。
目次
ロイヤルティプログラムとは、顧客のロイヤルティ(忠誠心)を育み、企業やブランドと顧客との長期的な関係を築くためのマーケティング施策全般を指します。
単に商品を売るだけでなく、顧客に特別な体験や価値を提供することで「このブランドを使い続けたい」と思ってもらうことが目的です。
主な目的には、以下のようなものが挙げられます。
広告単価の高騰とクッキー規制により新規獲得コストは上昇。一方、既存顧客の再購入率を5%向上させるだけで利益が25%増えるという複数調査が示す通り、LTVドリブン経営が急務となりました。ロイヤルティプログラムは、この課題に対し購入間インターバルを埋める接点を設計するための最適解とされています。
広告単価(CPA)が上昇し続ける一方、既存顧客のリピート獲得コストは新規の20〜30%で済むというデータがあります。加えて、個人情報保護規制やCookie制限の強化により、リタゲ広告だけに依存した収益モデルは限界を迎えつつあります。そこで「自社CRM内で顧客データを蓄積し、パーソナライズ施策に活かす」ロイヤルティプログラムが、収益安定化の基盤として急務になっているのです。
近年は構築が容易なSaaS型ロイヤルティプログラムや、AI搭載で行動予測・オファー自動最適化を行うプラットフォームが続々登場しています。また、ブロックチェーン技術によりNFT(非代替性トークン)を活用したデジタルバッジを発行し、二次流通データまで取得できる仕組みも実用化。これらの技術革新により、中堅企業でも短期間かつ低コストで高度なロイヤルティ設計を導入できる環境が整いました。
ロイヤルティプログラムを導入することで、企業は多くのメリットを期待できます。
ここでは、代表的な効果を5つご紹介します。
ロイヤルティプログラムは、顧客が自社ブランドを継続して利用する強力な動機付けになります。
「ポイントが貯まるから」「会員限定のサービスがあるから」といった理由で、顧客は競合他社へ移りにくくなります。
ある調査では、ロイヤルティプログラム参加者の継続率は、非参加者と比較して平均20%向上するというデータもあります。
プログラムを通じて特別な体験やパーソナライズされたコミュニケーションを提供することで、顧客はブランドに対してより強い愛着を感じるようになります。
これは顧客エンゲージメントの強化につながり、単なる消費者から熱心な「ファン」へと関係性が深まります。
エンゲージメントが高まると、企業のメッセージに対する反応率も向上するでしょう。
ロイヤルティプログラムは UGC(User Generated Content)を促しやすく、口コミ経由でのブランド想起を押し上げることがわかっています。
Bond Loyalty Report 2024 によると、“充実したロイヤルティプログラムを持つブランドは、そうでないブランドに比べ 79 %の消費者が推薦しやすい” と回答しています
参考:Bond Loyalty Report 2024
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ロイヤルティプログラムは、顧客との関係を長期化させることでLTV(顧客生涯価値)の向上に直接貢献します。
リピート購入の頻度が増え、アップセルやクロスセルによって顧客単価も上昇する傾向があります。
新規顧客の獲得には高額な広告費が必要ですが、ロイヤルティプログラムを活用すれば、既存顧客の維持と再購買促進を低コストで行えます。既存顧客はすでにブランドを知っており、関係性も築かれているため、CV率が高いのが特徴です。また、紹介や口コミによる波及効果も得られるため、CPA(顧客獲得単価)の大幅な削減にも貢献します。
ロイヤルティプログラムには、さまざまなアプローチが存在します。
ここでは、代表的な7つの種類とその特徴を解説します。
自社の目的や顧客層に合ったプログラムを考える参考にしてください。
最も一般的で、いわゆる「ポイントプログラム」がこれに該当します。
購入金額や来店回数に応じてポイントを付与し、貯まったポイントを割引や商品交換に使える仕組みです。
導入しやすく、顧客にもメリットが分かりやすいため、多くの企業で採用されています。
企業の存在意義(パーパス)や社会貢献活動に顧客を巻き込むプログラムです。
例えば、商品購入が環境保護団体への寄付に繋がったり、リサイクル活動への参加で特典が得られたりします。
ブランドの価値観に共感する顧客を集め、より深いエンゲージメントを築くことができます。
ランク分けやポイント計算を排し、全会員に一律特典を提供。参加ハードルが低く、幅広い顧客にリーチできるのが強みです。
楽天ポイントやTポイントのように、複数の提携企業で共通のポイントを貯めたり使えたりするプログラムです。
一つの企業だけでなく、提携する企業グループ全体(経済圏)での利用を促進します。
顧客にとっては利便性が高く、企業にとっては相互送客による顧客基盤の拡大が期待できます。
ブランドと顧客が一緒になって新しい価値を創り出すことを目指すプログラムです。
アウトドアブランドのパタゴニアが行う製品の修理サービスや、顧客からのフィードバックを製品開発に活かす取り組みなどが挙げられます。
顧客は単なる消費者ではなく、ブランドを共に創るパートナーとして、強い当事者意識を持つようになります。
顧客一人ひとりの購買履歴や行動データを分析し、最適化された特典や情報を提供するプログラムです。
「あなたへのおすすめ商品」の提案や、誕生日月に特別なクーポンを配信するなど、個々に合わせたアプローチで「特別扱いされている」という感覚を高めます。
商品の購入だけでなく、顧客の特定の「アクション」に対してインセンティブを付与するプログラムです。
これらのアクションを通じて顧客との接点を増やし、楽しみながらブランドへの関与を深めてもらうことを目的としています。
クラウドサーカスの「Metabadge」も、このアクション型ロイヤルティプログラムの構築を支援するツールの一つです。
ここでは、国内外の有名企業が実践するロイヤルティプログラムの成功事例を見ていきましょう。
単なる施策の紹介ではなく、その裏にある戦略や成功の秘訣を読み解くことで、自社への応用ヒントが得られます。
スターバックス コーヒー ジャパンは 2017 年 9 月に 「Starbucks Rewards™」 を導入し、公式アプリまたは登録済みスターバックス カードで 60 円(税込)ごとに 1 Star を付与する仕組みを展開しています。たまった Stars は 25 Star からカスタマイズeTicket に交換でき、130 Star・190 Star など段階的に eTicketへ交換できるため、少額でも達成感が得られるゲーム設計 が特徴です。
2025 年 3 月のリニューアルでは 500 円 eTicket を新設し、チケット対象をビバレッジだけでなくフード・豆・ティーへ拡大するなど“選ぶ楽しさ”を強化しました。導入から 7 年で会員数は 約 1,500 万人(2017 年比 10 倍) に到達し、国内コーヒーチェーン随一の規模へ成長しています。
参考:Starbucks® Rewardsとは|スターバックス コーヒー ジャパン
アプリ累計8,817 万ダウンロード、国内アクティブユーザー1,569 万人を誇るMUJI passportは、購買だけでなく「店舗チェックイン」「レビュー投稿」でも“マイル”が貯まる仕組みが特徴です。貯まったマイルは割引クーポンに交換でき、「無印良品週間」で大量消化を促進。さらに、店舗スタッフから届く“おたより”機能で来店間ギャップを埋めています。
また、2025年9月開始の新プログラムでは、従来の「MUJI passport」を刷新し、買い物・レビュー投稿・廃棄家具回収への参加など多様なアクションでポイントを付与。貯めたポイントは商品の購入だけでなく、地域共創イベントや寄付にも利用可能です。アプリ統合によりオンラインと店舗の行動データを一元管理し、パーソナライズ施策の精度を引き上げています。
2025年9月、 無印良品の会員プログラムが 生まれ変わります。
Nikeは会員専用アプリ群(SNKRS・Run Clubなど)を通じ、ランニングチャレンジ完走やレビュー投稿でバッジを付与。一定の“アクティブ度”を満たしたメンバーのみ限定スニーカー購入権を獲得できる設計が希少性を演出し、エンゲージメントを最大化しています。
参考:ナイキ メンバーシップ
オーダースーツD2CのFABRIC TOKYOは、“採寸・購入・アンケート回答” など多様な行動で EXP(Experience Point) を獲得し、保有EXPに応じてステージが決まる仕組みです。上位ステージ(リーダーなど)に到達すると、送料無料クーポンやシークレットイベント/先行販売への招待といった特典が付与され、購入金額だけでなく参加アクションを評価する点が特徴です。この“行動ベース評価”は、日本のビジネスウェア系D2Cブランドとしては先駆的な取り組みとしてスタートし、顧客との関係強化とリピート促進を目的に運用されています
では、実際に自社でロイヤルティプログラムを導入するには、どうすればよいのでしょうか。
ここでは、計画から実行、改善までの7つのステップを解説します。
思いつきで始めるのではなく、順序立てて進めることが成功の鍵です。
ロイヤルティプログラムを始める前に、「なぜ取り組むのか」をはっきりさせます。
例:リピート率を10%上げたい/LTVを5,000円増やしたい/レビューを月100件に増やしたい/ブランドへの共感を深めたい など
目的が明確になると、後の報酬や運営方法も決めやすくなります。顧客が商品を知ってから愛用するまでの流れ(カスタマージャーニー)を整理し、「この場面で何を伸ばすか」を考えましょう。
プログラムに参加すると、顧客がどんなメリットを得られるかを決めます。
報酬は 魅力的で、かつ継続して提供できる ことがポイントです。目的とバランスを取りながら、付与率や利用条件を検討します。
目的と報酬が決まったら、どのタイプのロイヤルティプログラムにするかを選びます。
タイプが合わないと成果が出にくいため、顧客の動機と自社目標が重なる方式を選びましょう。
プログラムを長く続けるために、人員・システム・ルール をあらかじめ整えます。
良いプログラムでも、顧客に知られなければ参加してもらえません。
ローンチ後は データを見て改善点を探す ことが大切です。
プログラムは 作って終わりではなく“育てる”もの です。
これら7つのステップを順番に進めると、目的に合ったロイヤルティプログラムを無理なく運営し、顧客と長く良い関係を築けます
ロイヤルティプログラムを設計・運用する際には、関連法規の遵守が必須です。
特に以下の法律には注意が必要です。
法務部門や弁護士などの専門家に相談しながら、コンプライアンスを遵守したプログラムを設計することが極めて重要です。
この記事では、ロイヤルティプログラムの基本定義から種類、メリット、成功事例、導入ステップまでを網羅的に解説しました。
ロイヤルティプログラムは、単なる値引き施策ではありません。
顧客一人ひとりと向き合い、特別な体験と価値を提供することで、長期的な信頼関係を築くための戦略的投資です。
市場の競争が激化し、モノが溢れる現代において、顧客から「選ばれ続けるブランド」になるためには、このような顧客との深い結びつきが不可欠と言えるでしょう。
近年、従来の購入促進型プログラムに加え、顧客の「行動」に着目した新しい形のロイヤルティプログラムが注目されています。
クラウドサーカスが提供する「Metabadge」は、まさにこのアクション型ロイヤルティプログラムの実現を支援しています。ユーザー参加型コンテンツ(クイズ・診断・投票など)を中心とした購買以外での接触にもインセンティブを付与することにより、潜在時にも定期的に接触ができ、愛着や想起率を高める事ができます。
ご興味のある方は、以下の概要資料をぜひご覧ください。
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