第一想起とは、顧客がカテゴリーを思い浮かべた瞬間に真っ先に浮かぶブランドを意味します。
この指標を押さえることで 売上・指名検索・競合優位 を同時に引き上げられることが、近年の各種調査で明らかになっています。
本記事では 第一想起がビジネス成果につながる理由 を整理したうえで、測定方法・獲得方法・国内企業の施策事例などを網羅的に解説します。
目次
第一想起は「○○といえば最初に浮かぶブランド」を示す指標です。ここでは、純粋想起や助成想起との違いを整理しながら基本概念をご紹介します。
第一想起は、生活者があるカテゴリーやニーズを連想した瞬間に最初に思い浮かべるブランドやサービスを指します。たとえば「炭酸飲料と言えば?」と聞かれた際に真っ先に「コカ・コーラ」と答える状態がそれです。広告業界では「TOMA」と略され、ブランド認知の最上位指標として扱われます。
メディア予算を投下しても第一想起に入れないと購入検討のスタートラインに立てません。逆に言えば、第一想起を確立できれば競合より有利な交渉位置を獲得できます。
純粋想起とは、調査対象者にヒントを与えずにブランド名を回答してもらう指標です。質問例は「Yシャツといえば思い浮かぶブランドをすべて挙げてください」。ここでは第一想起以外に第2想起・第3想起も測定でき、ブランドが「記憶の上位何位にいるか」を可視化できます。
助成想起とは、選択肢リストやロゴを提示したうえで「見聞きしたことがあるブランドを選んでください」と尋ねる調査手法です。主に全体認知率を測る目的で使われ、「ロゴを見れば思い出すが自発的には出てこない」層を把握できます。
想起階層 | 測定方法 | 主な活用シーン |
---|---|---|
第一想起 | 純粋想起調査で最初に回答されたブランド | 購入候補の最上位評価・メディア戦略 |
純粋想起 | ヒントなしで複数回答 | ブランド想起ポジションのモニタリング |
助成想起 | 選択肢提示後に選ばれたブランド | 認知獲得フェーズの広告効果測定 |
第一想起が高いブランドほど購入候補に入りやすく、指名検索や差別化にも直結します。ここでは、売上や競合優位にどう影響するかを簡潔にご紹介します。
第一想起に入っているブランドは、検討フェーズに入る以前に勝負が決している状況をつくれます。電通の調査によると、購買カテゴリーを想起した瞬間に想起上位3ブランドに入ると購入率が平均2.3倍に跳ね上がるという結果が報告されています。これは「認知→興味→比較→購入」という一般的なファネルを短絡させ、比較段階のコスト(広告費・販促費・人的工数)を削減できることを示唆しています。
とくに D2CブランドやEC専業では広告依存度が高いため、第一想起を獲得すると広告 ROAS が 1.4 倍向上したケースもあります。
Google サーチコンソールのデータを分析すると、第一想起向上期にはブランド名+製品カテゴリーの指名検索クエリが増加する傾向があります。指名検索は以下の利点をもたらします。
関連記事:【重要】指名買いを増やすマーケティング戦略とは?顧客に選ばれるためのブランディング思考と事例を紹介
第一想起を確保すると、競合がリブランディングや価格訴求を行っても価格競争に巻き込まれにくいというメリットがあります。コカ・コーラは 130 年以上市場シェアを守り続けていますが、その理由の一つが「炭酸飲料=コーラ=コカ・コーラ」という強固な第一想起の占有です。
結果として、利益率が高止まりし、投資余力が生まれ、さらにブランディング施策を強化するという正のスパイラルを形成できます。
ここでは、アンケート調査・検索量分析・SNSモニタリングの三つで第一想起を測定する方法を紹介します。
最も汎用的な測定手法はオンライン定量調査です。質問構成は以下が基本形です。
アンケート設計のコツは、カテゴリーのフレーミングを明確にすること。たとえば「健康飲料」か「スポーツドリンク」かで第一想起は大きく変動します。また、回答順をランダム化し提示バイアスを排除することも重要です。
Google キーワードプランナーや Google Trends でブランド名+汎用KWの検索量を追跡すると、指名検索の伸び率を定点観測できます。月間検索ボリュームが競合よりも早い傾斜で上昇していれば、TOMA向上が示唆されます。
X(旧Twitter)やInstagramのブランド名ハッシュタグ投稿数もリアルタイムの想起指標になります。SNS はポジティブ/ネガティブの文脈が混在するため、感情分析ツールを併用してポジネガ比率を確認しましょう。
ブランドを思い出してもらうには、単なる認知ではなく「忘れさせない仕組み」が必要です。ここでは第一想起を高めるための打ち手をご紹介します。
第一想起を手に入れるには、まずブランドの存在を「知ってもらい、忘れられない」状態に引き上げる必要があります。そのためには、広告・PR・口コミなどを通じて生活者の視界や意識に触れる回数を着実に積み重ねることが欠かせません。どの手法を選ぶ場合でも重要なのは、ブランド名・ロゴ・メッセージを統一し、繰り返し届けることです。接触頻度が高まるほど無意識下での刷り込みが進み、ユーザーが「○○といえば」と連想するスピードが速くなります。言い換えれば、“まず思い浮かぶ存在”になるための第一歩は、接触機会を途切れさせないことなのです。
「誰に」「どの立ち位置で」覚えてもらうかを先に決定し、すべてのクリエイティブで同じメッセージを繰り返します。たとえば D2C コスメが「成分を100%公開」というポジションを一貫発信した結果、指名検索が伸び、ファン層が厚くなった事例があります。チャネルごとに表現を変える場合でも、ブランドカラーやキービジュアル、キャッチコピーは統一し、記憶に残る“芯”をぶらさないことが重要です。
UGC(User Generated Content)は、SNS への写真投稿やレビューサイトの評価や口コミなど生活者発信のコンテンツです。人は知人や第三者の体験談に強い信頼を寄せるため、ブランド側がシェアしやすい企画を提供し、投稿が生まれたら公式が反応して可視化する。この循環をつくることでタイムライン上にブランド名と好意的な声が継続的に流れ、第一想起が自然に強化されます。並行して感情分析でネガティブ言及を早期にフォローし、ポジティブな口コミはストーリーとして拡張することで、UGC は広告以上に信頼を生む資産となります。
▼UGCについてさらに詳しく
UGC活用事例10選!X(Twitter),インスタでのUGC成功事例、マーケティング手法を知ろう
ここでは、飲料・アパレル・食品の代表ブランドが第一想起を高めた取り組みをご紹介します。
日本コカ・コーラは、ボトルにひらがなで名前を印刷する季節限定ラベルや、テレビドラマとのタイアップ、年末の “リボンボトルツリー” など、1 年を通じて文化的なタッチポイントを次々と仕掛けています。こうしたクロスメディア施策により、飲料カテゴリーで「真っ先に思い浮かぶブランド」という地位を長く保ち続けています。
参考:今年は9色で登場!クリスマスは、カラフルリボンで華やかに
ユニクロは “LifeWear” というブランドステートメントを軸に、機能性・価格・社会貢献を一貫して発信。毎年恒例の「ユニクロ感謝祭」やアプリ会員限定クーポンなどで接触機会を増やし、SNS でも話題を継続的に創出しています。結果として、日常着の話題が出た際に「まずユニクロを思い出す」という声が定着し、トップクラスの想起ポジションを維持しています。
参考:ユニクロ公式|夏サキドリのユニクロ感謝祭
カルビーは全国各地でファンミーティングを開催する「Fan With! Project」を通じて、工場見学や試食会などファンとの直接交流を続けています。参加者がイベントの様子をSNSに投稿する仕掛けも組み込まれており、自然発生的な口コミが広がりやすい設計です。また「#みんなで創るじゃがりこプロジェクト」のように、ファン投票で選ばれたフレーバーを実際に商品化する共創施策も展開しており、ブランドへの愛着を高める取り組みとして注目されています。
参考:ファンミーティング|カルビー ルビープログラム
第一想起は、ブランド認知を拡大し、顧客ロイヤルティを高め、競合との差別化を同時に後押しする“ビジネス成長の起点”です。これを持続させるには、ターゲットを絞り込み、競合の動きを分析したうえで、自社ならではの価値を一貫したメッセージで届け続ける──そんな長期視点のブランド構築サイクルが欠かせません。また、測定と改善を繰り返しながら、UGC や口コミの力も取り込み、生活者との接触を途切れさせないという事が第一想起を高める上で重要な要素です。
クラウドサーカスが提供する「Metabadge」は診断・投票・クイズ・ARスタンプラリーなどライト層を巻き込む参加型コンテンツをノーコードで実装でき、ユーザーのアクションに応じてデジタルバッジや会員ランクを付与することができます。継続接触を通じてUGCを創出し、ブランドへの愛着を段階的に深める“アクション型ロイヤルティプログラム”として、第一想起を獲得・維持する仕組みをワンストップで提供します。
ご興味のある方は、以下の概要資料をぜひご覧ください。
フォーム入力後、資料を閲覧できます。
メタバッジのサービス概要資料を
無料でダウンロードできます
メタバッジに関するお問い合わせ、
無料相談はこちらよりお気軽にご連絡ください